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九十九                                 -NIPPON NO HAIKYO-

 

このフォトアルバム「九十九 -NIPPON NO HAIKYO-」を通してボクが表現したかったことは、我々現代を生きる日本人は何か大切な事を何処かに置き忘れて進んできてしまったのではないかということ。
冒頭にも書いたように、日本には古来より民間信仰として「付喪神」という神が存在すると信仰するほど物を大切にしてきた民族だった。世界大戦が終わり、全てを失い、焼け野原のゼロから再出発をした時にも物を大切にし、壊れた物でも再利用して使うと考えた。
しかし、高度経済成長期という荒波に揉まれ、急速に生活が豊かになったことと引き換えに、私達の心から「もったいない」という感情が消えてったのではないだろうか。
そして時はバブル景気、「もったいない」は恥ずかしい言葉になり果て、「使い捨て」が定着していった。「時代の先端を生きる」このことはもちろん重要なことではある。しかし、この言葉だけではその意味を成さず、先に述べた過去の事象を理解して初めて生きてくる言葉だとボクは考える。
海外に目を向ければ、中世に建てられた建造物が今でも沢山残っている。そしてその建物を利用して、内装・機能は今風にリノベーションして古い物と新しい物が共存共栄しているのが当たり前の考えだ。
「新しい物を買ったから、古いものは捨てる」この行為は当たり前の行動だ。しかし、新しい物を買う前に、まだ使えるのでは?捨てる前に何かに利用できるのでは?と考えることも必要ではないか?「こんな考えでは日本経済が潤沢に回らない」という考えも正解だと思う。しかし、日本人のアイデンティティの一つである「もったいない」を心の片隅にを置いておいて貰えればと思います。
そして、これから私達は近未来に向け、日本人のアイデンティティの一つである「お・も・て・な・し」を世界に示さなければならない。このことが一時のパフォーマンスにならないようにも、日本人の本質を今再確認しなければいけない時だと思う。

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